英国ロイヤル・スタイル インテンシブ・ワークショップ レポート 2013年4月6日(土)、7日(日) 新宿村スタジオ
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ロイヤル・バレエ・スクールから特別講師を迎えての教師コース、また、日本では初めてロイヤル・バレエ団ダンサーによるコンテンポラリーのクラスなど、盛りだくさんの講習会が開催されました。当スタジオの佐々木、安西もピラティスのレッスンを担当させて頂きました。 ダンス・ツアーズ・プロダクションズさん(以下DTP)の講習会では、バレエなど、他のクラスも拝見して、生徒さん方に必要な事・次のレッスンからすぐに活かせる事を、出来るだけピラティスのレッスンに組み込むようにしていますが、DTPさんからも「コントラクションに苦戦していたからピラティスでも教えて!」「中足骨の使い方を説明して」等、こちらが考えていたのと同様のご要望を頂きます(笑) 講習会で毎回 話題に上る「中足骨」ですが、バレエの上達や怪我の防止のためにも大変重要なポイントです。レポートの最後に記載したいと思いますので、是非お読み頂けたらと思います! |
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今回の講習会には、ロイヤル・バレエ団からはファースト・ソリストのディードリー・チャップマン先生が、そしてロイヤル・バレエ・スクールからは、急病のダイアン先生に代わってディビッド・ヤオ先生が来日されました。 教師クラスはバレエとピラティス、小中学生クラス、高校生クラスはバレエ、レパートリー、コンテンポラリー、ピラティスの4クラスを連日と、本当に盛り沢山。二つのスタジオで並行して講習会が行われたため、残念ながら全てのレッスンの様子をお伝え出来ないのですが、ご了承下さいね。 ●美しく、正しいポール・ド・ブラ ディビッド先生のクラスは、美しく、正しいポール・ド・ブラを行うためのヒントが満載でした。 「シンデレラ」や「リーズの結婚」などで知られる、英国の偉大な振付家アシュトン氏が「ダンサーたるもの、毎日ポール・ド・ブラの練習をするべき」とおっしゃっていた事、また、ポール・ド・ブラの練習そのものが強い上半身を作り、それが上体を大きくかつ素早く動かす、独特のアシュトン・スタイルを踊る事を可能にしているとお話し下さいました。生徒さん達にも、いかにポール・ド・ブラが重要か、しっかりと伝わったかと思います。 また、一見シンプルに見えるポール・ド・ブラでも、実は非常に奥深く、難しいという事を再認識させて頂きました。例えば、「アン・ナヴァンから左右の手を別々のポジションに動かす場合、両手を同時にポジションに到達させるためには、移動距離の長いほうを早く動かさなければならない」というご指摘。簡単なようで実は難しいのですが、これが出来ていないと、動きが音楽的に見えません。理論的に考えさせると同時に、体に染み付くように繰り返し練習を行いました。 他にも、肩を上げずに肩甲骨を動かすコツなど、解剖学に基づいた体の使い方をわかりやすく、かつ、すぐに踊りに活かせるようご指導下さいました。中でも印象的だったのが、ロイヤル・バレエ・スクールにある銅像と同じポーズが、ボディが最も安定し、肩甲骨を正しい位置に出来るポジションであるというお話です。 腹筋を使いながら、両手をアン・ナヴァンから前に引き延ばし、小指側をすいく上げるように手のひらを上に向けたポジションなのですが、こうすると肩が上がりやすい人でも肩甲骨が正しいポジションになり、脇の筋肉が使いやすくなります。すると、軸がしっかりして骨盤もまっすぐに立てやすくなるので、アン・ドゥオールもしやすくなるのです!肩が上がりやすい人は、そのポジションからア・ラ・スゴンドにすると、脇の使い方がわかりやすいと思います。 (文章だけではわからない!という方は、ドレアス先生のDVD「バレエ・ピラティス・ベーシック」でもポール・ド・ブラのレッスンで同様のアームスの使い方をしているので、試聴の出来るバレエ・ショップなどで是非ご覧になって下さいね。) ディビッド先生の、一人一人を直しながら、丁寧にご指導されていた姿がとても印象的でした。そして幼い頃から正しい練習を積み重ねてらっしゃった先生の筋肉や、動きの一つ一つがとても美しかったです。 ●ヴァリエーション・クラス ディードリー先生のヴァリエーションクラスは、高校生クラスの初日は「眠り」からダイヤモンドの踊りでした。ロイヤルらしく大きくエポールマンを使った動きを、素早くかつ優雅に踊る先生のお手本に思わずうっとりです。早いテンポで大きく踊るためには、カウンターバランス(上と下、右と左など、反対方向に引っ張り合いながら、ボディーを使う事)が欠かせませんが、コンテンポラリーのレッスンでも、この事をわかりやすくご指導下さいました。
二日目は「マノン」から扇を使った、娼婦の踊り。マクミラン振り付けの、流れるような動きが要求されるロイヤルならではの選曲。この講習会以外では味わえない醍醐味ですね! |
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正しい足のポジションは、内くるぶし、外くるぶしの高さを水平にし、親指の付け根、小指の付け根、かかとの三点に体重をのせて、骨盤底筋を引き上げ、三つのアーチを上げた状態です。 その状態でルルヴェをすると、親指と人差し指の間のあたりに体重がかかり、小指側のアーチ、親指側のアーチを通って、かかとを上に持ち上げた状態になります。(ビーチサンダルの鼻緒のあたりに体重をかけて、くるぶしを引き上げながらルルヴェをするイメージです)すると、中足骨の端のところで足が曲がり、高いドゥミ・ポアントが出来ます。 |
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先生方が中足骨を使って、とおっしゃるのは、タンジュなどでも アーチを上げた、正しいドゥミ・ポアントのポジションを通りなさい、という意味です。ところが、日本では、ビーチサンダルの鼻緒よりも、親指の外側に体重がかかっていて、くるぶしが内側にねじれ、アーチが無い生徒さんが大変多く、この事は今回来日された先生だけでなく、毎回先生方にご指摘を受けます。 このポジションが正しくないと、股関節が開きにくくなったり、タンジュで外ももの筋肉ばかりに力が入るなど、間違った筋肉を使ってしまったり、怪我のリスクが増えてしまうので、非常に重要な事なのです。 ディビッド先生やディードリー先生をご覧頂いた方はおわかりと思いますが、正しく立って、ターン・アウトすると、「レオタードとタイツの境目の、お尻の下あたりに“くぼみ”が出来る」状態になります。 |
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バレエダンサーや生徒さんを数多く治療していらっしゃるオステオパシーの先生によると、「バレエをしている方の殆どが、すねの外側〜足首の外側〜足の裏へと繋がる筋肉、腓骨筋(ひこつきん 図B)が硬くなり、くるぶしの骨が内側にねじれている。そのため、中足骨とかかとの間にある、骨と骨の間に隙間がなくなり、がちがちに固まって動かなくなっている。時に3才など、小さい頃からバレエを始めている人に多い」そうです。 「中足骨も内側にねじれ、アーチが無くなるので、足がジャンプなどの衝撃を吸収するクッションの働きをしなくなるばかりか、膝や股関節をねじって使う事になるので、怪我をしやすくなってしまう」と警告していらっしゃいます。ポアントにすると、アキレス腱のあたりやくるぶしの外側が痛い人は、この事が原因の場合が多いです。ア・ラ・スゴンドに足を上げたときに、内ももの張りが感じられず、足の付け根が痛くなってしまう事もよく起こります。 では、なぜ腓骨筋が硬くなってしまうのでしょうか? 足先だけで開こうとする事はもちろんダメですが、実はバレエそのものにも、腓骨筋を硬くしてしまう原因があるのです。 バレエではタンジュやポアントなど、足首を伸ばす動作が多いのですが、人間の体は、足首を伸ばそうとすると自然な状態ではカマ足になります。カマ足にならないようにするためには、腓骨筋を使うのですが、酷使されるこの筋肉をストレッチしないでいると、硬くなります。すると、くるぶしを徐々に内側に押し出して、足をガチガチにしてしまうのです。こうなると、いくらアーチをあげようとしても上がらないばかりか、正しいポジションにしようとすると痛みを感じる事すらあります。 そこで、今回のピラティスでは、中足骨を正しく使って頂くため、まず足をゆるめる事から始めました。カマ足の状態で腓骨筋をストレッチし、足もパラレルの状態でストレッチしてから、足の骨と骨の間にすきまを作るために、小さいボールに乗って足首を外側にゆらすように動かして頂きました。そして、アキレス腱を出来るだけ縮めないように、指を丸めないように注意しながら、足の裏の筋肉を使って、アーチを作りながらポアントにする練習も行いました。その後 生徒さん達は小指側でも床を踏めているのを感じて頂けたようです♪また、3つのアーチを上げると内ももの筋肉に力が入り、膝もしっかりと伸ばせるのですが、反対にアーチを落として外カマ足にすると、外ももに力が入ってしまう事も体感して頂きました。 高校生クラスでは、生徒さん一人一人のルルヴェの位置を確認させて頂いたのですが、正しいポジションにした途端、お尻の奥と、下のほうにあるターン・アウトに使う筋肉(外旋筋群 図C)が意識出来たようでした! |
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